【夏井いつき『子規を「ギャ句”」る』発見記念、ドジャレ句会】

いやあ、スゴい本があったものだ。
ドジャレ句会と方向性はいっしょだ。
有名俳人の名句の、一字一音を替えることによって、意味を愕然と変えてしまおうという言葉遊び!
夏井いつきが呼びかけて投稿を集めた。

例えば、こんなのがある。

○いじり句

陽炎や七年前の顔見ゆる  正岡子規

※陽炎のゆらぎのなかに何かが見えるようだ。あれは七年前のあのときの面影だろうか。

○例句

陽炎や七年前の由美かおる  野ばら

※7年前というと、水戸黄門シリーズの入浴シーンが評判だった。かおみゆる→ゆみかおると、同じ音で語順を並べ替えただけとは、あっぱれ技あり。『ギャ句”』より。

そこで、ドジャレ句会主宰者も一句。

陽炎や七年前の花王ミューズ   陣太呂

※古い石けんの話。

他の秀逸な句はこんなのがあった。

<原句>
鯉の背に春水そそぐ盥(たらい)かな   子規

恋の背に春水そそぐダライ・ラマ   坂柿せっか

鯉の背に温水そそぐ祟りかな   陣太呂

※鯉の背に熱いお湯を掛けると祟りがあります、きっと!

<原句>
故郷はいとこの多し桃の花   子規

故郷はイタコの多し桃の花   小林流美子/星埜徹円

故郷は似た子の多し桃の鼻   陣太呂

※故郷は親戚が近いのか似た子が多い。みんな桃みたいな鼻をしている。

<原句>
ある僧の月も待たずに帰りけり   子規

ALSOKの月を待たずに帰りけり   凡鑚

アルマジロ月も待たずに帰りけり   陣太呂

※アルマジロは月が出る前にねぐらに帰ってしまった、というあるまじき行為をとがめた句。