書肆じんたろ

読書は著者との対話、知りたいことのseek & find、ひとときの別世界。 真理には到達できないのに人々はそれを求め続ける。世界が何であるかの認識に近づくだけなのに。正しいことより善いことのほうがいいときもある。大切なのは知への愛なのか、痴への愛なのか。

2009年07月



千本倖生という人を『がっちりマンデー』で見て、普通のおっさんのように思っていた。しかし、この人はベンチャー・マネジマントの分野で、実務家であり研究者でもある日本の第一人者である。ハーバード・ビジネススクールやバブソンカレッジの教授とのコネクションもあるようだ。

この本は、サラリーマンが会社を作るというストーリーで展開されていて、読み物風になっているが、基本的なことはすべて書かれているように思う。起業のアイデアの「import/export」「模倣」「得意分野」「キャリア」などなるほどと思う。市場の分析やマーケティングなどは5Fや4P、3Cなどを使うことも応用できる。しかしこのストーリーでは商社の新規事業としての会社立ち上げ事例が描かれているが、これは普通のサラリーマンにとってはあまり当てはまらないケースだろう。個人で起業するとほんとはもっと資金調達やなんかで苦労することになると思う。運転資金の確保などもっと切迫感のあるほうがよかったと思うが、最初からそういう生々しい話にすると誰も興味を示さなくなるもしれない。

これを読んだから起業家として成功するかどうかは別問題だとは思うが。



松林博文氏もこの本の執筆メンバーだったのか。さすが顔が広いなあ。



吉越浩一郎さんや小室淑恵さんの本など残業ゼロものの本が流行っている。社長のような裁量権のある人の仕事術や特別な能力をもった人の仕事本はそれなりに面白いが、汎用性に欠ける。この本は凡人でも実行できるちょっとしたコツがたくさん書かれている。

残業が多いのは、①段取り・要領の悪さ、仕事の量が多い、②モチベーション=やる気が起きない・仕事に集中できない、③仕事量が多いという3つの理由のどれかだという。

言い換えれば、業務量が多すぎる(量的要因)、仕事とスキルにギャップがある(質的要因)、心理的要因の3つのうちいくつかだともいえる。それぞれの要因をクリアすることで残業が減るというのがこの本の主張だ。

また、仕事を人にばかり任せて自分は要領よく立ち回るのが、段取りのいい人なのか。そういうひとは「ウサギとカメ」のウサギで結局、地道に要領を蓄積するカメに負けてしまうらしい。確かに、今は重いと感じる仕事でも要領を覚えることでどんどん能力が高まるのは事実だ。また、「感情」と「時間」の関係の記述も興味深い。感情に支配されている人ほど、時間的効率が悪いというのだ。トラブルが起きたときに気持ちの切り替えができないことが例にあげられている。怒りの感情をコントロールできない、誰かに愚痴を延々と言わないと気持ちが晴れないというもの効率的な仕事の仕方とは対極にある。

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