世界最高級のホテルチェーン、リッツカールトン。このホテルのクレドは有名だが、この本を読むとそれを考えたシュルツ社長の深い考えと経営戦略がうまく結びついているのがわかる。この本は世界のリッツ・カールトンを制覇した日本人の旅行記と日本支社長のリコ・ドゥブランク氏の解説で構成されている。



旅行記ではリッツ・カールトンの顧客の誕生日から食べ物の好みまでを集めたデータベースが世界で共有されていて、それが印象に残るおもてなしに利用されているのがわかる。



サウスウエスト航空の本を読んだときも感じたのだが、サービス業に従事する人は根っから人にサービスすることに喜びを感じるひとがふさわしいのだろう。他人のために細かな気遣いを厭わず、人が満足して喜ぶことを幸せに感じる。サービス業にはこういう人が向いていると思うが、今や先進国の70%の人々がサービス産業に従事している。そのために、顧客満足度などをフィードバックするシステムが必要になり、サービスの品質保証が重要になる。



採用で応募者を振り分けることが重要になるのだが、根っからサービス業に向いている人は70%もいないと思う。これからの社会では、人間の資質から変えていくことがに求められているのかもしれない。しかし、教育で資質がどれほど変えることができるのかは疑問だ。



これからの社会でリッツ・カールトンのモットー「紳士淑女をもてなすわたしたちも紳士淑女なのです」に共感するような人々が増えるのだろうか。



社会の構造変化に人間の本質的な部分がついて行けない限り、職業選択のミスマッチは今後も続くのかもしれない。