書肆じんたろ

読書は著者との対話、知りたいことのseek & find、ひとときの別世界。 真理には到達できないのに人々はそれを求め続ける。世界が何であるかの認識に近づくだけなのに。正しいことより善いことのほうがいいときもある。大切なのは知への愛なのか、痴への愛なのか。

2012年02月



竹中平蔵が経済古典について書いている本がある。

経済学史というより、現実の問題にどう対処していくかという視点で、経済古典を書いた人々がその時代の何の問題をどのように解決したかったのかを解説しようとした試みだ。

アダム・スミス、マルサス、リカード、マルクス、ケインズ、シュンペーターなどがその素材に上がっている。

ケインズが言っているように、その時代の対処法をパンフレットくらいのサイズで経済学者は書くべきなのかもしれない。

経済思想はあとで体系化されるのだろう。

何の問題でもそうだ。思い悩むより、状況を把握して、適切な時期に適切な策を講じなければいけない。

心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」 角川SSC新書
名越 康文
角川SSコミュニケーションズ
2010-05-10


体が疲れ、心が弱ることは誰にでもある。

このまま不安やうつ気分にとらわれるのか、それとも明るい気分に向かうのか。

その違いはなんだろう?



そんな疑問にこの本は答えてくれる。薄い本だが、気分をうつから「楽」に変えるしくみや方法がいくつも書かれている。



一日の生活の中で、「今、ここ」を充実させるのが何より大切。

そのために、目の前の仕事に集中すること、過程を楽しむこと、少し開き直ること、自分を客観視して感情的にならないことなどヒントになることが書かれている。



食べるご飯をかんでいることに集中するというような明日からでもできることから、「不安は自分の中にしか客観的には存在しないのだ」というちょっと哲学的なことまで読むだけでも楽しくなる。不安は自分の妄想が創り出すものなのだ。その正体を知って、あらゆる手をうつ。それでも最後に見えてくるもの、それは何なのか。確かめるのは自分。



この人最近、テレビによく出ていて調子づいているが、よく他人のことを考えていて、いいこと書く人なんだ。



この本を時々読んで、明日も楽しく、今、ここを生きてみよう。

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