書肆じんたろ

読書は著者との対話、知りたいことのseek & find、ひとときの別世界。 真理には到達できないのに人々はそれを求め続ける。世界が何であるかの認識に近づくだけなのに。正しいことより善いことのほうがいいときもある。大切なのは知への愛なのか、痴への愛なのか。

2015年01月



最新マーケティングのキーワードで、LINE、アトリビューション、ウェラブルデバイス、ショールーミング、データサイエンティスト、ビッグデータ、ソーシャルリスニング、フラットデザインなどが解説されている。

最新マーケティングは、ソーシャルメディアやビッグデータ、ウェラブルのテクノロジーなどがトレンドのようだ。

サイバーネットワークが発展する一方で、アンバサダーでの口コミやショールーミングのリアルとの融合などの試みもある。

ピンクのクラウンのトヨタ、パルコのLINE活用大丸松坂屋のさくらパンダのキャラクターマーケティングなど成功例も面白い。

口コミで広がる価値のある商品、ソーシャルメディアで特定の層への拡散、ビッグデータ活用によるマーケティング調査の精度向上などが最新マーケティングの成功のカギのようだ。


革命家100の言葉
山口 智司
彩図社
2009-11-20


3年前にコンビニで売っていたので思わず買った本。

ラインナップがなかなかおもしろい。

キング牧師、板垣退助、チェ・ゲバラ、吉田松陰などはわかるが、松下幸之助や本田宗一郎まである。

ある意味、革命家と言えば革命家なんだろうけど。

「生死は度外に措くきて唯だ言ふべきを言ふのみ」(吉田松陰)

「成せばなる」(上杉鷹山)

いい言葉もあるが、その人の人生、行動哲学、言葉が発せられた状況から切り離された言葉にどれほどの意味があるのか疑問ではある。

でもまあ、読むだけで元気になる言葉もある。

表紙がゲバラでかっこいい。



学校会計基準が4月から変わる。
それにあわせて一番早く出版されたのがこの本だろう。
もともと学校会計基準は補助金を受けるために、資金がどのように使われるかを国に報告するのが目的だった。そのために、企業会計とは異なる形式になっていた。資金収支計算書はその目的のためには優れたものだったのだろう。
経営状況を知るために、損益計算書に近い消費収支計算書もあるが、学校は永続的に続くことが条件だということで「基本金」という特殊な会計概念も取り入れられている。
私立学校法、私立学校侵攻助成法という二つの法律から求められる目的が異なるため、二つの収支計算書を持つことになった。
しかし、経営状況を知る目的や利害関係者への説明責任から消費収支計算書はよりわかりやすさを求められるようになった。
企業会計ではキャッシュフロー計算書が当たり前になったが、資金収支計算書をそれに似せるようにした。
この流れが今回の会計基準の様式変更になったのだろう。
資金収支計算書の名称はそのままだが、キャッシュフロー計算書に近い活動区分資金収支計算書を作成することになった。
消費収支計算書は、事業活動収支計算書という名称に変わり、並びも損益計算書に近くなった。
この本の出版の後、続々と新・学校会計基準に対応した本が出されている。
改訂版を含め、まだまだ出版は続くだろう。
この本の良いところは財務分析についての解説があるところだ。
企業会計の分析と似た安全性の分析、効率性の分析、資金安定性の分析が解説されている。
学校法人会計におけるFCF(フリーキャッシュフロー)についての解説もあってなかなかおもしろい。
ただ出版が早すぎたこともあって、分析指標の取り方が私立大学連盟の案と少し異なっている。
ここは要注意だろう。

勝負心 (文春新書 950)
渡辺 明
文藝春秋
2013-11-20


羽生善治を「生きた教材」と言う渡辺明竜王。
現在30歳の彼は羽生氏と14歳の年齢差がある。
これまで将棋界は大山康晴、中原誠、谷川浩司という天才を生み出してきた。
羽生善治の登場によって、それまでの歴史が塗り替えられた。
羽生の登場は、コンピュータソフトを使いこなす世代の代表のようにも言われたが、この世代の層の厚さが羽生を生んだとも思える。
羽生世代は定跡の体系化をはかり、将棋をシステマティックにした。島朗九段がデータベースをつくり、『羽生の頭脳』が画期的な定跡書になった。
その次の世代の代表が渡辺明竜王。
将棋界に限らず、常に新たな世代が前の世代を乗り越える。
羽生の新しさは既存概念にとらわれない戦術とともに休みの日に水泳などスポーツを楽しむ姿だった。
渡辺は競馬が趣味で、対局の直前まで競馬中継や競馬新聞を見ているらしい。
大胆な発想の反面、対局中にお菓子を食べるのは、自分の手番というように対局者に対して細かな神経も持ち合わせている。
熱意こそ才能。
渡辺はそう言う。
渡辺の強さは、将棋への熱意を研究に注ぎ、熱意を持ち続けられるところだろう。



東京都内の業務用施設で一番CO2を排出しているのは東京大学の本郷キャンパスだという。
駒場Ⅰ・Ⅱキャンパス、白金キャンパスもあるので都内で膨大な電気を使用していることになる。
東京大学の年間の電気代は50億円になる。20%節電できれば10億円尾コストが浮く。
グリーン工学部プロジェクトのゴールは、2030年までに50%削減なのだそうだ。
ビル・エネルギー管理システム(BEMS)のオープン化で10%は削減できると見込み、ネットワークのオープン化、情報のオープン化を進めることによって、30%削減を実行したようだ。
ネットワークのオープン化は、IT企業、ゼネコンなどファシリティー・マネジメントの外注化によって実現した。
情報のオープン化=「見せる化」はスマートメーターを各所に取り付け、インターネット上で電気使用量が見えるようにした。
具体的な節電は次のようなもの。
・高効率証明への取り替え LED化
・ガス空調の利用
・100V電源プラグでの電力使用量モニタリング
・パソコンの動作モードの管理制御
・サーバーの仮想化・集約化
・サーバーのクラウド化
・デスクトップPCのノートパソコン化
・サーバー室の節電
・発電設備の設置

東大は工学部のサーバーなどもともと節電効果がある設備がある。
贅肉が多すぎたのだとも思える。
しかし、一般の大学のキャンパスでも参考にできることはある。

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