書肆じんたろ

読書は著者との対話、知りたいことのseek & find、ひとときの別世界。 真理には到達できないのに人々はそれを求め続ける。世界が何であるかの認識に近づくだけなのに。正しいことより善いことのほうがいいときもある。大切なのは知への愛なのか、痴への愛なのか。

2015年02月



金融業界の新入社員かあら中堅社員までこの一冊で十分!と表紙に書いてある。

この本は金融商品のさわりをカタログのように並べて書かれている。

本は図と見開き2ページなので実質的には半分のページ数の本だろう。情報については、入門書としてはこんな者なのだと思うが、実際に金融業界の社員が役に立つのは、例えば何かの投資信託のカタログのほうだろう。

しかし、素人にとっては知らないことを知るだけでも役に立つ本だ。



国債の利回りと価格が反対に動く理由から日銀が国債や手形をオペレーションによって供給量を調整する方法などわかりやすく解説されている。日銀は金利調整で公定歩合を使わなくなった理由もわかる。

国債を通じて金融や経済を知るには良い本だ。

これを読むと国債についてさえ知らないことが多いことに気づく。

著者は、「牛さん熊さんブログ」という金融政策に関するブログをまで書いている。



2015年4月から学校法人会計基準が変わるので、これまでの会計書が続々と改訂されている。

監査法人の公認会計士が書いているものが多い中で、この本は私立学校の職員が書いている数少ない本だ。

監査することが目的ではなくて、経理事務をするのが目的のためか、実務的な無駄が少ない。入門書としては本当によくできている。

学校法人会計に関する問題点も示されている。概念フレームワークの確立ってことが課題らしい。でもこれは難しいだろう。

補助金を受けるための資金収支計算書が、活動区分資金収支計算書を追加して、キャッシュフロー計算書に近くなった。消費収支計算書は事業活動収支計算書という損益計算書の並びに近くなったが、基本金の概念はそのまま残った。こういう会計の概念をつくるのは経営原理を考えなくてはいけない。収支バランスが大事で、損益ではない、でもある程度の利益は必要、という概念をどう考えるか。

執筆陣は大学行政管理学会の財務の担当者のメンバー。学校財務のプロフェッショナルの人たちなんだろう。

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