美しい国へ (文春新書)
安倍 晋三
文藝春秋
2006-07-21


A級戦犯は裁かれて既に刑を受けたし、講和条約以降、刑法犯罪者扱いされなくなり、遺族も遺族年金を受けている。靖国神社参拝に際してもA級戦犯のことをことさら問題視すること自体がおかしいというのがこの人の主張だ。日米同盟については、祖父・岸信介と安保反対のデモのシュプレヒコールを祖父宅で聞いたが、大学で勉強し、やはり軍事力をもたない日本はアメリカとの同盟以外にないという祖父の判断は正しいと思った。北朝鮮問題は拉致被害者の有本さんの家族から父・晋太郎に依頼があり、社会党も外務省も知らんふりのなかで議員有志で活動を始めて以来、取り組んでいる課題。憲法改正は自民党結党以来の悲願との認識。日本が独立国家として、また集団自衛権をもつためにも改正が必要。こんな内容が書かれている本だ。安部晋三はやさしい顔をしているが実はタカ派と言われるのもよく理解できる。しかし、血筋のよい坊ちゃんの割には骨太の政治家という印象だ。尊敬するチャーチルの記述も多い。明治維新以降の日本の現代史を考え直すにもよい本だ。