書肆じんたろ

読書は著者との対話、知りたいことのseek & find、ひとときの別世界。 真理には到達できないのに人々はそれを求め続ける。世界が何であるかの認識に近づくだけなのに。正しいことより善いことのほうがいいときもある。大切なのは知への愛なのか、痴への愛なのか。

カテゴリ: オペレーション戦略




未来ビジネス図解 新しいDX戦略
内山 悟志
エムディエヌコーポレーション(MdN)
2021-06-25




街でよく見かける100円自販機。
その儲かりの仕組みがよくわかる本。
自販機ビジネスは損をしない。
会社は中古の自販機なら一台15万円。新しい自販機なら80万円もするが、リース料7000円でも可能。電気代は中古なら4000~5000円だが新品ならその半分。
仕入原価は40円そこそこ。それを100円で売る仕組み。
著者が大阪から東京に拠点を移して気が付いたのは、大阪ではとにかく安いものから売れたけど、東京では「カロリーゼロ」や「ポリフェノール入り」のような健康志向商品が売れたとか。地域差はあるのだ。
通常のオペレータの仕入れ価格は平均で70~80円。どうしてこんなに高くなるのかは宣伝費や流通費用が加算荒れ田「営業原価」があるから。
賞味期限が切れかけとか気にしない人がほとんど。あまり見たことのない商品でも自販機の左上にブランド商品を並べるだけで、その商品にも高級感が漂うようになる。そういう素人感覚が激安自販機の成功の秘訣らしい。

コンビニの闇 (ワニブックスPLUS新書)
木村 義和
ワニブックス
2020-10-08


2019年にコンビニ全体の売上高は11兆2634億円、総店舗数は5万8340店舗だった。
この10年超で売上高は約二倍になっている。
日本の信号機が約5万7000台らしいので。信号機くらいの店舗数になっているのだ。
店舗の売り上げ日販平均は、セブンイレブンが約65万円、ファミリーマートが約52万円、ローソンが約53万円となっている。
マクドナルドの日販平均は、約57万円らしいのでほぼ同水準。
CoCo壱番屋は約18万円、サーティーワンアイスクリームは約10万円なので、コンビニは売り上げの多い業態なのだろう。
しかし、ロイヤルティの比率の高さが特徴だろう。
セブンイレブンの場合、日販67万円の店舗でロイヤルティは約11万7000円。
ファミリーマートの場合、日販54万円の店舗で7万6000円、ローソンでは日販50万円の店舗で6万9000円。
一方、CoCo壱番屋はロイヤルティがゼロ円。サーティーワンアイスクリームは売り上げの8%となっている。
『コンビニの闇』という本だけあって、コンビニの問題点も抉られている。
そのひとつが、コンビニ会計。
「弁当の廃棄分は原価に含ませない」という特徴がある。廃棄ロスは店舗が負担するという計算方式である。

売上:100円で10個仕入れて、8個=800円分売れた場合、
原価を70円とすると、普通なら800-700=100円の利益となる。

しかし、コンビニ会計の場合、廃棄分は原価に含ませないので、

70円×10個-70円×2=560円となって

コンビニによる粗利は、

800-560=240円 となる。

ロイヤルティが60%とすると、144円

一般の会計では、利益が100円になるが、コンビニ会計だとそれから144円支出されるので、収益はマイナス44円となる。

もう一つは、セブンイレブンが行うドミナント戦略と呼ばれる近隣区域に店舗を集中させる戦略だろう。セブンイレブン側は、配送のメリットと近所にあることによる顧客へのブランド力の向上を狙っている。近くに店舗があるとよく見かけるコンビニとして認知度が高まり、コンビニとしてのブランドが向上するという理屈だ。
しかし、店舗側としてはそれだけ食い合うカニバリゼーションが起き、収益が悪化することが多い。
東大阪でセブンイレブンの店長が訴訟を起こしたのもセブンイレブンの経営姿勢への反旗なのだろう。

コンビニチェーン進化史 (イースト新書)
梅澤 聡コンビニチェーン進化史 (イースト新書) 
イースト・プレス
2020-02-09


2020年出版の本。
コンビニの歴史がわかる。
多くのコンビニは大手スーパーが母体となり、アメリカのチェーンとライセンス契約しているケースが多い。
地方のコンビニは地元のスーパーなどが母体となっている。
例えば、広島に本社があるポプラは大黒屋食品が立ち上げた。大黒屋は広島で海産珍味の製造卸売業を営んでいた。1949年の創業で、先代を30歳で引き継いだ目黒俊治が1974年に広島市の流川店をコンビニ業態に変えた。セブンイレブンの豊洲店のオープンと同じ年だった。海鮮珍味と弁当が特徴だった。弁当は炊き立てご飯を店舗で盛る「ポプ弁」に引き継がれている。

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