『三国志』全30巻(コミック版だと全60巻)を読み終えて思うことは、諸葛亮孔明をもっと知りたいということだ。
文学に描かれている孔明よりも史実としての孔明を知りたい。
歴史上の人物で最も尊敬するのは、これまでは大久保利通だった。司馬遼太郎が描く悪役としての大久保利通ではなく、史実のなかの利通だ。
西郷隆盛との友情と明治維新の方向性の違いから離別したこと。
暗殺された日も警護は手薄だったこと。胸には西郷からの手紙を入れていたことなど。
ヨーロッパを見た大久保と、一度も見たことのない西郷の違いが明治維新のビジョンを分けたと思う。
それは大久保利通の研究者の成果を見ればわかる。
諸葛亮孔明とはどういう人だったのか?
劉備の漢王朝復興の夢を追い求めたが、志半ばにして逝った。
孔明は姜維に兵法の極意を託したが、姜維もまた蜀の衰退のもとで夢を果たせなかった。
帝の地位に憧れもせず、亡き主君のために知謀を巡らせて戦った孔明。
その能力の使い方を間違わなかった。
もし文学に描かれた孔明が実際にもそういう人だったのなら尊敬する歴史上の人物になる。